藤沢市民病院救命救急センターの日勤の放射線業務はCT・救急担当の技師5名の中から2名が交代で撮影・検査業務をおこなっています。なお、当直は管理職を除く20名で対応しています。日勤後当直に入り翌朝までの勤務で、休日は日勤と当直を分けています。
一日の検査件数は日勤帯で平均53件、当直帯では平均47件ですが、当直帯でPCIや塞栓術の血管系やERCP、イレウス管挿入等の透視を伴う検査が入った場合、救急撮影業務は1人での対応になります。
救急センターにはICU(6床)・HCU(6床)・病棟(18床)・感染(6床)があり、ポータブル撮影やCT検査依頼にも救急センターの技師が対応しています。また、こども診療センターも併設しており小児の診察を24時間体制で受け入れています。

救急初療室

重症初療室として2部屋(図・初療1・2)設置されていて、ベッドは経過観察が必要な場合、移動し観察可能なストレッチャーベッドを使用していますのでボード上での撮影は沈み込みがあり、スペーサーは若干厚めのものを使用しています。また、ベッドの背上げ機能を有するため坐位の撮影も可能です。初療3には内視鏡が常備されていて、瘡処置が必要な場合などにも利用され、その他に隔離診察室2部屋、除洗室などが有ります。

どのような機材を使用していますか?

救急撮影室には重症初療室専用のGE社のポータブル装置が配置されています。移動のアシストなどは国産と同じですがプログラム機能など無いシンプルな装置です。 

ベッド:PARAMOUNT BED KA-8110
呼吸器:Dräger Oxylog 3000
生体モニター:PHILIPS IntelliVue MP50(救急センターで統一されています) ポータブル撮影装置:GE AMX-4+

一般撮影装置はどのような装置ですか?

PHILIPS社のフラットパネルで1管球2パネル方式であり、フラットパネルディテクタ が旋回機能を有するため、撮影台に患者さんを移動すればほぼすべて撮影ができます。 小児の撮影はメーカー推奨のEI値の1/2から1/3の設定で撮影しています。
一般撮影装置:PHILIPS Diagnost TH/VS

CR装置は?

受像系はコニカのCRを使用しています。当院での他社CRとのメーカー推奨EI値で比較すると約半分の線量で撮影できています。

CR装置:KONIKA REGIUS Model190

救急ICU・病棟

救急ICU・病棟には島津社のポータブルを配置しています。ICUではベッドの高さが高く 距離があまり取ることができません。 ICUではチューブ類が挿入されている患者さんが多く、技師も読み取り画像で挿入位置等に注意し、気がかりな場合はできるだけ早く診療科へ連絡するよう心がけています。

ポータブル撮影装置:MobileArt Lumina 

CT室

CT装置は何ですか?

GE社製のVCT64列で、当院ではこの装置で予約の冠動脈CTを撮影しており、救命救急からの緊急を要する依頼と重ならない様、患者搬送情況を確認しながら検査をおこなっている。

CT装置:GE Light Speed VCT
Centricity Archive CA1000 付属 

ベッド上での撮影

当施設では検査精度向上を掲げており CT検査では以下の啓発活動をおこなっています。“救急”だからといって被曝を気にしないで検査をしていませんか?頭部を撮影する時は可能な限り専用のアダプターで撮影しましょう。

専用アダプターでの撮影

同じ患者さんの頭部CTですが受傷時は外傷がひどくベッド上で撮影、フォロー時は専用アダプターで撮影しています。ベッド上ではCTDI値は30%以上増加します。

NICEガイドライン

小児の頭部CTに関しては画像診断科の積極的な取り組みで、NICEガイドラインを取り入れたこと、また被曝リスクの情報提供を家族に行うことにより検査数は1/3に減少、異常所見率も上昇し、小児科と画像診断科との連携で不要な検査が削減されています。
詳しくは日本救急放射線研究会(第20回・小児頭部外傷CTの適応について)

ワークステーションは?

救命救急センターでの検査画像構築はほぼCT本体で行います、同じメーカーなのでCT本体とワークステーションの操作は同じです。冠動脈、頭部・腹部CTAが主な処理になりますが他の救急業務を行いながらの処理になります。

ワークステーション:GE AW4.3

血管造影室

どのような血管造影装置を使っていますか?

センター併設の血管撮影室はありません。心カテ室とIVR(CT有)室の2部屋で日常の予約検査の中に救急が割り込みます。日勤帯は血管室の技師が対応し、当直・休日帯は一人がカテ検査できる者との組での業務になります。平成22年12月に心カテ室は更新されどちらも東芝製です。

循環器装置:東芝 Celeve-i (バイプレーン)
IVR装置:東芝 Infini Activ CT:Asteion4

PACS

画像サーバは何を使っていますか?

PSP社でユーザーの要望によく対応してくれています。どこも同じですがデータの圧縮、保存、24時間稼働している、モニターの経年変化に伴う輝度等の管理が課題です。
当院では誤認防止で、指差し確認・声だし確認、検像は必ずダブルチェックを行い、一人が検像したら後ででも必ず違う人が再検像をおこない、左右の間違い、部位の再確認など、できるだけ間違いが無いように努力しています。また、当直帯など画像診断科が不在の時間帯は、一人でも多くの人が画像を観る事によって所見を発見でき、その場合診療科と連絡を取り合い、間違った診断が起こらないように心がけています。
PACS:PSP EV Insite net
検像システム:PSP Confirm net 

MRI室

MRI装置は何ですか?

PHILIPS社で1.5Tと1Tの2台稼働していましたが只今大改装中で、平成23年4月からは3Tと1.5Tの2台稼働になります。ほぼ24時間対応可能なように職員を配置していますが、3Tはすごく操作性が良さそうなのでより充実した検査が可能となりそうです。

MRI装置:PHILIPS Achiva 3.0 TX
Achiva  1.5T

その他

救急センターの放射線検査室は救急診療エリアの近くにあり、重症患者の搬送情況についても救急スタッフから報告があり、他職種との連携もはかられており、患者受診状況を随時確認し撮影依頼が出れば技師から積極的に検査を行うようにしています。また、依頼医師等が自由に操作室に出入りでき、検査画像をお互いが確認しあえる体制ができています。
緊急のCT・MRI検査につては、精度向上マニュアルを作り緊急検査となりうる検査依頼項目の、検査の流れ・検査条件・確認項目等のマニュアルを作成し安全な検査運用と、画像の表示・画質・濃度等の均一化をはかっています。
誤認防止対策として、検査依頼受けから徹底して声だし・指差し確認し、一人が確認し画像転送〔サーバー〕した場合も、他の技師がサーバーから画像を呼び出し、属性・依頼内容の確認・画像配列・画質等、再度確認し、二者確認を徹底しています。
救急センターからの依頼の検査は全症例画像診断科が報告書を作成している、日勤帯は迅速に報告書を作成、当直帯は翌日の朝には作成されているので、常に検査結果がフィールドバックされているので技師のレベルアップの要因になっています。また、画像診断の医師から担当技師に患者情報や検査情況等を問われる場合もあり、逆に技師から読影医師に患者撮影等のコメントがあれば逐次報告し、報告書作成に寄与していて、検査担当技師と読影医師との密接な関係がたもたれています。
課題として、救命センター内で随時関連部署が参加して、救急カンファレンスを開催していますが、担当している技師も積極的に参加し検査後の画像検証をはからなくてはならないのですが、限られた人員の業務の中時間調整が難しく参加できないのが現状です。