帝京大学医学部附属病院 中央放射線部(水見・光武・篠原・矢野・伊東・成田・西郷)

当院は東京都板橋区に所在し、帝京大学医学部を含む帝京大学板橋キャンパス内にあり、特定機能病院の承認を受けています。高度救命救急センターの他、 全診療科支援型の総合診療ERセンターと外傷センターを有し、地域の基幹病院として東京北部,埼玉南部の広域医療圏をカバーしあらゆる救急症例に対応しています。

2017年7月からはハイブリッドERシステムを導入し、ERで全身CT・IVR・ 緊急手術まで可能となり、 医師と技師が一丸となって重症外傷患者の救命に 注力しています。また、日本救急撮影技師認定機構の指定実地研修施設として 認定されています。

<建物概要>
開院年月日:昭和46年9月1日
許可病床数:1078床(一般:1031床 精神:47床)
建物の概要:階層 地下2階~地上19階(診療機能18階)
構造:免震構造 高さ:83.45m / 延べ床面積:約11万1千m²(駐車場含む) 

関連フロア:
1階:高度救命救急センター/ER
2階:画像診断センター
4階:血管造影検査室/循環器センター/中央手術部/GICU

救急初療室

救急撮影室のストレッチャーはどのようなものですか? 

■PARAMOUNT BED ハイローストレッチャー 

滑りの良いトランスファーマットレスが付いており、マットレスの取っ手を引きながら滑らせて移乗できるため患者さんを持ちあげる必要がなく、ストレッチャーから撮影寝台への移乗時が楽に安全に行えます。またストレッチャーの高さと背ボトムの角度が調節可能なので、座位での撮影も対応可能です。

一般撮影装置はどのような装置ですか?

■ポータブルX線装置:島津製作所 Mobile Art Lumina 1台 

           富士フィルム CALNEO AQRO 1台(発熱外来専用) 

ベッドサイドでの効率的なポジショニングが行えるよう機動性を重視し患者の負担軽減のため、初療での一般撮影はポータブルX線装置を使って対応します。 患者さんの状態により2階にある画像診断センターまで移動して撮影する 場合もあります。また、発熱外来での撮影では富士フィルムのCALNEO AQRO 1台 を専用機として使用し感染防止に留意しています。

一般撮影装置の受像系は何を使用していますか?

■FPD:コニカミノルタAero DR fineシリーズ 

■画像診断ワークステーション:CS-7 

■CR:ケアストリームヘルス Direct View CR850 

可搬型DRを前述のポータブルX線装置に搭載しFPDで撮影しています。画像はX線曝射後コンソール(CS-7)に高速表示されるので、各種チューブ類の位置確認など素早く画像を確認できます。ワイヤレスFPDならではの使い勝手の良さは 軽量化・高堅牢性・防水性と相まって、救急の現場で快適な操作性を実感しています。またFPDに不具合が生じた場合のバックアップ機としてCRが備えてあります。

その他

超音波装置(FAST):TOSHIBA Xario200 TUS-X200S
生体モニター:日本光電 心電計ECG-2450(解析付)cardiofa
人工呼吸器:Oxylogシリーズ 
除細動器:日本光電 TEC-5600シリーズ

IVR-CT室(ハイブリッドER型初療室)室

どのような血管撮影装置を使用していますか?

1階 高度救命救急センター:キャノン INFX-8000C(CTと一体型) 
4階 血管造影検査室:シーメンスArtis 1台/フィリップス 2台/GE 2台 
4階 中央手術部:フィリップス(ハイブリッドOR)1台 

1階のIVR-CTでは、緊急性の高い外傷性のTAEを主に行います。4階の血管 造影検査室は、主に心臓緊急カテを行います。1階から4階へは専用エレベーターで移動します。 外傷TAEと心臓PCIを同時に行うことも少なくありません。 

CT装置は何ですか(救急でよく使う機種)?

■Canon Medical Systems Aquilion one(320列)

 血管撮影装置と一体となっているCanon Medical Systems Aquilion one(320列)を使用しています。 IVR-CT室に重症外傷や意識障害等の患者が直接搬入され、 すぐにCT撮影を行います。撮影室には、生体モニターや呼吸器など初療室と同等の設備が備えられています。IVR-CT室の大きな利点として、患者の移動がなく検査や処置を行うことが可能です。CTを撮像してから血管内治療や開腹手術等の治療に移行するまでの時間を短縮することができます。 また、技師も患者の到着と同時に造影剤を準備するなど、迅速に検査をできるように心がけています。画像処理では動脈相の画像をinsta viewで確認できるように設定してあり、画像再構成を待つ時間は無く,撮像直後から医師が治療方針を検討することが可能です。 

どのようなワークステーションを使用していますか?

ZIO STATION 2(Zio2)を使用しています。3D構築を主として脳血管や骨折部の 再構築をする頻度が高いです。救急の現場では撮像してから短い時間で画像を 医師に提供する必要があります。Zio2には多くの自動処理ツールが備わって いるため、少ない手順で3D画像を作成することが出来ます。血管内治療を行う場合には仮想透視画像に血管走行を重ね合わせた画像を作成し、目的血管へのアプローチを支援しています。当直時は不慣れな技師も画像作成ができるように マニュアルを用意し、スムーズな診断・治療が行えるように準備、工夫をしています。

その他

ハイブリッドER型初療室(IVR-CT室)へ搬入されるものとして主に重症外傷・意識障害(脳卒中)などがあり、CT撮影後,直ちにTAEまたは開胸・開腹術へと移行することも少なくありません。チーム医療の視点から事前の手順をチーム全員で確認するために行われるブリーフィングに参加し受け入れに備えます。 
外傷患者の搬入が決まった時点で放射線科IVRチームへ連絡する体制があるため、搬入時からの介入が可能となります。また、技師は患者受け入れ準備から手技終了(画像提供含む)まで迅速に対応するため、 ハイブリッドER型初療室の業務は2名で行ない、搬入のコールがかかると担当者はCT管球のWarm-Up等、装置の準備を行います。

血管造影室

どのような血管撮影装置を使用していますか?

1階 高度救命救急センター:キャノン INFX-8000C(CTと一体型) 
4階 血管造影検査室:シーメンスArtis 1台/フィリップス 2台/GE 2台 
4階 中央手術部:フィリップス(ハイブリッドOR)1台 

1階のIVR-CTでは、緊急性の高い外傷性のTAEを主に行います。4階の血管 
造影検査室は、主に心臓緊急カテを行います。1階から4階へは専用エレベーターで移動します。 外傷TAEと心臓PCIを同時に行うことも少なくありません。

MRI撮影室

MRI装置は何を使用していますか?

Signa HDxt 3.0T (GE) 2台 
MAGNETOM Skyra 3.0T (SIEMENS)
MAGNETOM Avanto 1.5T (SIEMENS)

その他

急性期脳梗塞や脊髄損傷などの検査は24時間MRI検査に対応できるように、 当直業務を行う全ての放射線技師へのトレーニングを行っており、マニュアルを作成しているのでrt-PA静注療法や血栓吸引療法に早急に対応できるようになっています。また、当直者で対応できないMRI検査の場合は、緊急呼び出し体制も設けています。

救急担当者は何名ですか?

平日日中の放射線業務は2名が担当し、当直時間帯は病院内のすべての放射線業務を2名で行っています。日曜日と祝日について日勤帯は5名、夜勤帯は3名で業務を行います。当直帯は救急救命センターでの撮影以外にも検査依頼が多く、 1名で対応することも多々あります。ごく稀に、長時間かかる業務との依頼が 重なった際は、緊急呼び出しを行うこともあります。 

その他なんでも

救急医療の現場では、患者の命を救うため、専門分野の垣根を超えた様々な医療スタッフとの連携の重要性をより強く感じます。そんな中で、私たち診療放射線技師は、扱う機器や撮影する画像の専門家であるという自覚を持ち、時には医師や他の医療スタッフに協力を仰ぎながら業務にあたっています。また、 自分の知識や見識を深め、より良い救急医療につながるように毎日行われている救命カンファレンスには技師も参加し、救命センター内の情報共有とともに撮影した画像に対する現場の医師からの声を聴き、技師の意欲や知識の向上に役立てています。技師同士では週に1度一般カンファと銘打って技師それぞれが知りたいことをまとめプレゼンテーションする場を設けており、救急医療に関する発表も多くお互い刺激を与えあういい機会になっています。 今後の課題として、一般撮影室の技師が救急医療に携わることが多いため、救急に携わる機会の少ない技師にも知識や技術の伝播がスムーズにできるように、 体制を整えることが挙げられます。